米国従業員の日本への逆出向について
近年、米国人従業員を日本の親会社へ派遣するケースが増加しており、派遣従業員の給与構築および適用する日米の税制に関し、下記に説明いたします。米国人従業員の逆出向と日本人の米国駐在員との間での大きな相違点は、給与構築する際、日本人の米国駐在またはその他の国への駐在と同様のコンセプトを用いて構築することで雇用差別問題を回避でき、グローバル人事の観点から望ましいといえます。また税金面では、日本人の海外駐在の場合、みなし税を会社が徴収し、手取額を保証するケースがほとんどで、駐在員の年間所得をベースにみなし税の見直し計算を行わない企業が散見されますが、米国人の逆出向の場合、みなし税(Hypothetical Tax)を仮の税(Estimated)を徴収し、毎年確定申告書作成に合わせて見直し計算(Definitive)を行い税金の清算書(Tax Equalization)を作成するのが一般的です。このTax Equalization方式を採用することで、逆出向期間中はNo Loss, No Gainという税金面での公平性を保つことが非常に重要です。
日本勤務期間中の米国の税制
米国市民および永住者は、世界中どの国に居住していても申告義務が発生すると確定申告しなければなりません。ただし、役務提供に勤労所得については、年間で85,700ドル(2007年)の海外給与所得控除(Foreign Earned Income Exclusion)することが可能です。もちろん、外国発生する税金も外国税額(Foreign Tax Credit)として控除可能ですが、上記、海外給与所得控除を取る場合、外国の税金が所得対応で否認されますので、85,700ドル以下であれば、全額否認されることになります。この海外給与所得控除を取るための条件ですが、日本に1年以上滞在し納税義務(所得税、住民税)が発生すること以外に下記の二通りのいづれかの条件をクリアーする必要があります。
1) Bona-Fide Residence Test
暦年ベースで1ヵ年、日本滞在する。
2) Physical Presence test
継続する12ヶ月間内で330日間、日本滞在する。
上記のいづれかをクリアーすることで、日本勤務期間中は海外給与所得控除、外国税額控除に加え、通常の項目別控除(Itemized Deduction)または概算控除Standard Deduction)および人的控除も控除が可能です。したがって、日本勤務期間中は給与所得以外の個人的な所得がないかぎり米国側での税金は大幅に減少します。
日本駐在期間による日本の税制
日本出向の米国従業員に適用される日・米の税制は、駐在期間により下記の三通りがありますが、滞在期間により税制が異なります。
1) 1年以内(非居住者)
非居住者として日本国内源泉所得が課税対象となり、20%で課税されますが、住民税は発生しません。また、住宅費、生活費などの出張手当は非課税となります。
米国側では海外給与所得控除は取れませんが、外国税額控除は取れますので、米国で勤務継続する場合と比較して外国税額控除の分だけ、米国の連邦が下がりますが、州税の面からは外国税額控除を取れない場合もあります。
2) 1年以上5年以内(非永住者)
この場合、非永住者として日本源泉所得が課税対象ですが、生計費、教育費、税額補助等の所得に対し所得税および住民税共に累進税率で課税されます。日本駐在が完了し、米国へ帰任した以降に発生する日本源泉所得(例えば税金補助)は20%で非居住者として課税されグロス・アップし納付することになります。
米国側では海外給与所得控除および外国税額控除を取ることができます。なお、日本源泉所得は勤務日数により決定されますので、日本出向中に米国出張が頻繁に発生する場合は、その分だけ日本での課税所得が減額され、税金も下がります。また、個人的に米国で発生する所得(例えば、利子・配当所得、賃貸所得)は日本では課税対象外です。
3) 5年以上−永住者
この場合ですが、日本の市民権保持者と同様の日本の税制が適用されます。課税所得も全世界所得が対象となり、逆に海外で発生した税金があれば外国税額控除をとることも可能です。上記2)の場合、日本の源泉所得のみが課税対象ですが、永住者の場合は全世界の源泉所得が課税対象です。
米国では、全世界所得が課税対象ですが、米国外の源泉所得については、海外給与所得控除、外国税額控除等を受けることが可能です。
Tax Equalization 米国人従業員の日本への逆出向ですが、冒頭にも簡単の説明したように、期中はみなし税を出向者が予測する所得、控除等のデータを用いて予定でみなし税を計算・徴収(Estimated Hypothetical Tax)します。課税年度終了後、出向者が実際に申告したデータに基づき最終みなし税額(Definitive Hypothetical Tax)を算出し、出向者からあらかじめ徴収した“予定みなし税”と“最終みなし税”の清算業務を行います。これは“Tax Equalization”と呼ばれており、米国の多国籍企業のほとんどが採用している税額清算方式です。このTax Equalizationの結果、予定みなし税が不足であった場合は、出向者より不足分を徴収し、その逆の場合は会社が出向者へ戻すことになります。
Payroll
日本駐在中の出向者の日本でのペイロールですが、日本で課税所得となる分についてはグロス・アップが必要で、年末に源泉徴収票を日本の雇用者は発行することになります。ただし、米国側のペイロールは全世界所得を報告することになりますので、米国勤務時とは大きく異なるペイロールになります。ただし、税金面からは海外所得控除、外国税額控除等の影響で連邦の源泉税は大きく減少します。日本駐在期間中は、みなし税も含め詳細な給与明細を出向者に発行しなければ大きな誤解を生むことになるため、事前の説明および理解が求められます。
This document was not intended or written to be used, and it cannot be used, for the purpose of avoiding tax penalties that may be imposed on the taxpayer.
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